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2019-01-25

ライフシフト〜ギャップを学ぶ一年〜

2017年から2018年は、ギャップイヤーだった。

安定していて先が見えている暮らしから、
不安定な先の見えない暮らしへ。

やることなすこと、わからなくて。

脱サラも、無職も、無収入も、介護も、不安定な生活も、初めてのことばかりで。
何から始めていいかわからなかった。

1週間、朝から晩まで決まったスケジュールがないことが不安になった。

祖母の認知症と向き合って、報われない介護をまともに受け止めて、傷ついたり、腹を立てたり、なだめたり、徘徊から連れて帰るのに苦労したり、そのせいで家を自由に空けられないのが辛かった。

仕事がしたいけど、デイの預かり時間も仕事をするには短すぎて積極的に動けず、かといって在宅の仕事を見つけるにも、いつどこで何をしでかすかわからない介護との両立は難しいと悩んだ。

そもそも家にいることが今までなかった外型人間なので、外に出かけるイベントが少なかったり、場所が遠かったり、人と毎日出会わないことが苦痛だった。
まともに奈良で生活していたのは小学生までなので友人も少ないし、関西の友人はほとんど東京に出ている。

ある程度覚悟はして戻っていたものの、やっぱり頭で想定していることと実際の経験は違う。
Uターンであるからこその動きにくさもある。
思っていたよりもずっと地域の暮らしは難しい。

そこからほぼ一年。

毎日通勤しないことへの不安は無くなった。
決まったスケジュールがないことに慣れた。

土の扱い方さえ知らなかった自分が、試行錯誤で作物やスパイスハーブを育てた。
スパイス・インストラクターの資格を取った。

古都奈良のたくさんの歴史文化に触れる中で、改めて「今の生活で普遍的な常識だと思われていることがそうではないこと」を感じた。

今、大きく世界の価値観が変わりつつある中で、古来から日本の形を試行錯誤で模索してきた奈良の歴史文化を知る意味は大きい。それは現代に生きる自分と、そこまでに至る悠久の時間や価値観をつなぎ直す時空の旅ができる最良の場所だと感じた。

そんな奈良で、同じく自分らしい生き方をしていたり、私と同じように新たな生き方を模索しているたくさんの魅力的な方と出会った。彼らに共通しているのは、自分の価値観を大切にして生きていることだ。逆にそうでもないと、時の流れが違うこの場所をわざわざ選ばないのかもしれない。

そんな時間や物事が自然中心に回る暮らしでは、いくら計画を立てたって思い通りに運ばないことが当たり前だ。人間中心で回る都市部とはやり方が違う。その前提で、今自分ができることが何かを考えられるようになった。

情報が人間本来の処理速度の限界を超えて溢れている世の中で、私達は労無くして最短で他人の出した正解を求めたがる。でも、世の中の大半のことは「こうでないといけない」ということは無い。

都会じゃ無いといけない、地域じゃ無いといけない。最先端じゃなきゃいけない、手仕事じゃなきゃいけない。宗教が無いといけない、宗教があるといけない。無駄を作ってはいけない、時間にとらわれてはいけない。他人と違ってはいけない、オリジナリティがなければならない。資本主義でなければいけない、資本主義では行けない。休んでは行けない、休まなければ行けない。

何事もそんなにすぐ白黒決着がつくものでは無い。そして、それは自分で熟成して模索するプロセスを経験しないと見えてこないことだ。結果の良いとこ取りはできない。

「白黒即決」と「こうで無いと行けない」という思考から自由になることで、気持ちも楽になるし、面白くできそうなことはたくさんある。所詮、世の中の価値観も、命も、世界もすべてのことは必ず移ろい変わって行くものだ。絶対的なものなど何もない。そう思えると、一喜一憂せず長い視野で前に進むことができる。

何かを始めたいと思っても踏み出せない方、地域の暮らしに興味があるけど実際どうなのよと思う方、今の世界に漠然とした不安がある方、何か楽しいことを見つけたい方、単純に思考にガツンと新たな刺激が欲しいわという方には、こーゆー変人もいるからと安心して、と時々言いたくなる。

一年のことをテキストに落としてみると、たぶんこうなる。

◯勤め暮らしをやめてわかる特殊性 
〜時間が資産化され、管理される時代〜

◯使わなくても出て行くお金
〜勤め人に優しい国、日本〜

◯向こうから流れてくる情報に、欲しいものはない
〜情報のプロパティを意識する〜

◯脱クラウドの必要性
〜24時間、繋がりつづけることの脅威〜

◯認知症介護の光と闇
〜自分中心から他人中心の暮らしを考えることの意義〜

◯脱サラ30代の地方での就業
〜手に職が無いもののサバイバル〜

◯2拠点生活の意味
〜地方の役割、都市の役割〜

◯お金で解決する暮らしから、お互い様で解決する暮らしへ
〜それぞれがそれぞれをゆるくツケで助け合う経済〜

◯手を動かして創る
〜これからの時代に生産手段を持つことの必要性〜

◯地域にこそ必要なITインフラ
〜都市や若者をつなぐ情報発信ができること〜

◯当たり前のことが当たり前でないことを知る。
〜人間のコントロールが及ばない世界〜

◯超加速する社会の中で、悠久の時間をゆるやかに受け継ぐ奈良
〜自然に調和した暮らしの時間を知る大切さ〜

◯自分らしい生き方を探る
〜安定から不安定へ。エクスプローラーとしての一年〜

この一年では、そこからまた新たに開ける世界が見てみたい。
(写真は奈良県の 室生山上公園 芸術の森)

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