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2018-02-13

【BOOK】慈悲深き神の食卓 – イスラムを「食」からみる

旅イベントツアーで東京に遠征していた時に、たまたまお世話になったイベント会場のMIRAITOKYO(ミライ・トーキョー)にて、オーナーさんのお心遣いで、元ライフネット生命創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口さんに再びお目にかかるチャンスに恵まれた。

出口さんには、以前「都市の世界史」という本を読んでから大ファンになってお目にかかりたかったのだが、昨年6月にたまたまイベントでお目にかかれる機会があり、その際に文中に豊かに記述のあったイランに行くことをお伝えしたら「シャーナーメ(王書)」をすすめてくださったのだ。

都市の世界史(都市にイスタンブル、デリー、カイロ、サマルカンド、北京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、世界を牽引してきた都市の歴史がわかりやすく記されている。また、ペルシアやイスラムの諸王朝、マケドニア、ローマ帝国、モンゴル帝国といった大国の盛衰や住民や重要人物の話など、多くの情報が盛り込まれている。さらに、理解を助けるためのオススメの本まで紹介されている。)

ササーン朝ペルシャがアラブ人とイスラームの侵攻に負けてから、11世紀初めにアラブ中央政権に対抗して書かれたペルシャ民族高揚のための叙事詩。神話・伝説・歴史の三部からなるペルシャの建国史。

そんな出口さんに、イランの旅のあれこれをご報告できたことが嬉しかったのだが、その際に食のイベントをすることをお伝えすると、新たに「慈悲深き神の食卓」という本をすすめていただいた。

エジプトのカイロを中心とした、普通のイスラム教徒の信仰文化の暮らしやラマダン(斎戒月)の捉え方、世界のグローバル化の中でのイスラームとしてのアイデンティティの保ちかた、などを豊かな語り口でわかりやすく解説してくれている。

気になるトピックスは以下。

・商人のための秩序を作るための宗教としてのイスラームの出自
・オーソドクシィ(思想・教義理解主体)な仏教、キリスト教に対する、オーソプラクティシィ(慣習・行動主体)なイスラーム教。
 「オーソプラクティシィな、人生における人間の行動、政治、社会、経済など全てに関与するイスラームに政教分離が為されていないと非難するのは適切ではない。」そうそう、ほんとそれ!!! 
・頼りない正直な善人(アミーン)であるムハンマドに親近感(カボチャ好きな普通の人間が、預言者であり使徒である親近感)
・ゆるい規範と都度の有識者による判断が多様な宗派と解釈とゆとりをもたらす
・砂漠という厳しい場所で共同生活をしながら生き抜くために、何かと解釈に融通の利く戒律(豚肉しか食べ物がないときは食べても良いなど)
・食べることに対するルールを設けていることが人間。「食べること」そのものは人間にとって大きな喜びであると共に自分が動物の一種にすぎないことを思い知らされる不愉快なものでもある。
・食の規範を共有することで自覚されるイスラームアイデンティティ。(断食においても、食べるものがちゃんとあって自分の意思で食べない状態でないと、断食とは言えない。なので、貧しくて食べられない人にはみんなで施しをして飢えさせないことが前提。)
・意識化される食行動(広大なイスラームが規範となる世界の時代から、西洋の自由経済の世界に移ることでアイデンティティが求められる。それまでは無意識に暮らしていても周りの全部がイスラム教徒だったので、普通に暮らしていても戒律を客観的に捉えたり、無意識に破るようなことはなかった。)
・ハラール認証の罠(「食べていいものが前提」のハラール認証と、「食べられないものが前提」の教義の違いによる食品の統一基準の難しさ)
・イフタールにおけるお互い様の精神、共食の場所(富めるものも貧しいものも食べ物を分かち合って一緒にラマダンを乗り切ることで生まれる社会秩序と温かいコミュニティ)

東京外国語大学が著者の方のインタビューを youtubeにあげている。

講演も行われているようだ。内容は著書にほぼ近いものがあるので、本を読みづらい方はこちらをご覧になっても良いと思う。しかし、本の方がエピソードも豊富なので、著書も併せて読まれることをオススメする。

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