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2017-09-27

余白のある暮らし

秋になった。
報恩講を前に、野原には曼珠沙華(彼岸花)が咲き誇っている。

宇陀にいると時間を忘れることがある。いろんな意味で余白がある。

余白。

全てのことが自分の思い通りにコントロールできる都市の暮らし時間。
全てのことが自分の思い通りには行かない地域の暮らし時間。

「逆に全てを自己管理でコントロールできる環境だから息苦しいのではないか」、と友人のサエコ氏は言う。

東京にいるときは身軽になるぶん、できる限りの予定を入れてしまう。夜中に作業をすることもある。
地域の暮らしであれば、天候が悪いと農作業はできないし、雪が降ると外出できない。すぐに人にも会えない。すぐに整理できそうな話がなかなか通じないこともある。虫に噛まれたら動けないし。猫もふらっとくるし。井戸の水も流れたり枯れたりするし。本当に予測できないし、マネジメントの範疇を超えている。

どちらが余裕があるだろうと思った時に、普通に考えると都市部で活動するときのように何でもコントロールできた方がストレスが少ないと思うのだが、
コントロールできるということは、隙間がないということだ。できる限り、予定を入れる。予定が空いてしまったら効率が悪い。空白の時間をどう過ごしたらいいかわからない。まだまだ自分はいける、と思ってどんどん先まで予定を詰め込む。結果、時間の隙間がない。

「隙間が怖い」というのはある。
空いている時間を自分は一体どう過ごしたら正解なんだろう。予定が入っていたら時間が埋まっていたらやるべきことを迷わなかったのに、どうしたらいいんだろう。拘束時間がないことに慣れていないので、どうしたらいいかわからない。

まだいける、まだいけると思うし、まだいける状態である自分を許せない。自分は何時も最大出力でありたい。
タイムマネジメントをやって、無駄な時間を1秒たりとも作りたくない。

便利になればなるほどゆとりができるはずが、さらなる効率化、高速化を求め求められてマネジメントがどんどん息苦しくなる。
そういった今現代の息苦しさの象徴は、「余白のなさ」だと思う。
のりしろのない封筒を締めているみたい。

「時間」を乗りこなし克服すべき相手と捉え、常に戦っていて、常に最大出力で最新であり続けるために日々すごいエネルギーを消耗する。
そのため、都市の時間はものすごく加速しているように思う。秋の匂いのする風や夕暮れの凪や虫の声、夜の満点の星空やホタルのきらめき、朝焼けの肌を通り抜ける凛とした空気などに気を止める暇はない。満員電車でピリピリしていて老人や弱者は蹴り出す、道も土地も空も全て区画されている。誰のものでもない場所・ないものがない。道端から野草から空気まで全て整理され、管理されている。

しかし、地域で自然や四季、伝統と付き合うと思い通りにならない。都市部の人間中心ではなく、地域の自然中心の世界で時間が動いている。ゆっくり、だけど確実に全てのものが移ろい変わっていく。老化も同じく。その大いなる力に誰も抗うことは出来ないし、その中でどう生き物として生き抜いていくかを考えることが求められる。

この半年、その「思い通りにならない不安な時間」のギャップを身体で感じ続けてきた。そして、「自然」に自分を合わせることを学ぶようになった。そして、それは中東での生活を思い出したような気がする。「ファルダ(明日)」「ヤールン(明日)」「ガダン(明日)」と言われて、本当にやるかどうかは「イン・シャー・アッラー(神の御心のままに)≒I hope so」。全ては厳しい天候のご機嫌と神様の思し召し通り。今を生きることが大事で、明日のことは明日になってみないとわからない。

なので、「大和時間」とどう仲良くなって付き合っていくか。自然は自然のリズムがあり、輪廻転生がある。そこに身を置く。その中で生活が回る方法を考える。それには、一人では無理だ。自然と心を通じ合わせて、環境のいろんな要素と繋がりを肌で感じながら、行きたい方向への気の流れにうまく身をまかせる。時期をみはからう。そんな、腹を据えた大らかさが必要だと思うのだ。

かといって、手をこまねいているだけでは何も環境は変わらない。今だからできること、今しかできないことを、ゆっくりだとしても続けていく。そんな時間を日々模索して積み重ねていくことで、「暮らしを作る」。

そのための「余白」。これまでは、旅をすることで意図的に作ってきた「無管理空間=余白」が当たり前にある生活になることで、今度はどう山折谷折り線を創造的に引いていくか。これからの半年はもっと、余白を楽しみ、もっと余白で暮らしを積極的に創造して繋げて行きたいと思う。

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